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フランス料理の来し方行く末 その2

去年の8月に作業を始めた「フランス料理用語辞典」の新版編纂が終わりました。

光陰矢の如し。
1995年に初版を刊行してから、あっという間に15年近くが経ってしまいました。
当時、新語や新表現をすべて採用し、この辞典があればどんなルセットでも読める、
という意気込みで編纂したのですが、いつのまにか、調べても出ていない用語が多くなり、
知らない単語を調べる、という辞書の道具としての役割を果たせなくなりつつあったのです。

オーギュスト・エスコフィエらが確立した近代グランド・キュイジーヌが長い間
世界の中心にあった時代にはあまり変化はなかったのですが、ここ10年ほどの
料理の変わりようは凄まじいものがあります。
ですから当然、用語にも同じような変化が生じるのは自明の理。

道具造りの私たち辞書編纂者がその変化に後れを取ったら、利用者にたいへんな
迷惑をかけることになります。
料理だけではありません。ワインやチーズのAOCも随分と増えました。
約5000語だった語数が9000以上になったのはこのせいです。
ベストセラーになりっこない専門辞典に長い時間をかけるのはなかなか辛いのですが、
いわば論理的必然が私たちに勇気を与えたと言えるでしょう。


EUの影響に多少関わるフランスのレストラン関連の諸法律改正とそれに伴う
グランド・キュイジーヌの料理の変化は、将来どのような美食の世界を
造って行くのでしょうか。
労働裁量制など、日本では、仕事をしている人にとって、結果として労働環境を
悪くするような現象を引き起こす法律も成立してしまうようなこともありますが、
現代フランスの労働形態やそれに伴う労働者の意識は、多少の紆余曲折は経るにしても、
進化を続けると思います。
そのように高騰する労務費をカバーするには結局のところ、材料原価の低下に
頼らざるを得ない、つまり手をかけず、かつてより低い材料費でレストランを運営する
技術が必要となるでしょう。

日本ではまだ、このような事実には直面していません。
でも将来、それが少子化が原因であろうと、人手不足が深刻になり、快適とはいえない
労働環境の職場には志を抱いた若い人の参入が減少することになるでしょう。
そしていづれはフランスのようになるのは必定です。
いまでも大半の厨房では労働時間の制約など無視されているのです。
料理長は過去の料理法を革新しつつ再現したり、全く新しい調理器具で全く新しい
調理法を開発したりすることで、社会的要求を満たしていくようになるのではないでしょうか。

フランスレストラン経営において60パーセントを下回るのは難しい、といわれている
トータルコスト(労務費+食材原価+消耗品費)を尊重しつつ、食べる人に驚きと喜びを
提供する能力を発揮できる料理人が次代を担っていくのでしょう。

「フランス料理の本質はソースである」といわれたソースひとつをとっても、
魚料理ではその存在さえ危うくなり、肉料理用ソースの必需品だったフォン・ド・ヴォや
その派生系の様々なソースが様変わりして簡素化されています。
デザートも簡単にできる部品を組み合わせて美しく且つおいしく作ります。
その中で他店との差別化を図るには、新機材による新調理法やまだ世界に眠っている
新食材などを利用するべきでしょう。
日常に追われている料理長の皆さんは、自らの先見性を持って料理コンセプトを確立し、
それに従ってメニューを書かなければいけない時代だ、ということを自覚せざるを得ないのです。

日仏料理協会
宇田川 政喜
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