コンソメ アリス

コンソメ アリスConsommé Aliceとは、バターで別々に炒めたアーティチョークとサラダ菜、それにヴァーミセリ(極細のパスタ)を浮き身とするコンソメで、フランス料理黄金期の大料理人オーギュスト・エスコフィエの作品のひとつです。

1995年に出版した『フランス料理用語辞典』の中に Alice の見出しがあります「Alice固有名詞女性形 人名。/salade Alice:小球状にしたりんごとグロゼイユをサワークリームであえてりんごに詰めたフルーツサラダ」
2009年に大改訂し、新たに編纂した『新フランス料理用語辞典』では「Alice」を単に「人名」として逃げたくなかった私は、エスコフィエが料理人として活躍していた時代の有名人で「Alice」の名を持つ人物を探しました。エスコフィエは長くロンドンの有名ホテルで料理長を務めていたこと、Alice が英語的な名前であることから、私はイギリスに的を絞っていました。そこでたどり着いたのが、1865年に出版されたルイス・キャロルの名作『不思議な国のアリス』でした。「アリス」の名を冠した料理にはコンソメとフルーツサラダがありますが、何だか『不思議な国のアリス』にはそぐわないものです。それで、ちょっとはかわいい様子のあるフルーツサラダを例として付記しました。

しかし、しっくりきません。「コンソメ アリス」はどうでしょう。
バターで別々に炒めたアーティチョークとサラダ菜、ヴァーミセリ(極細のパスタ)を浮き身としたものが consommé Alice です。本当は辞典にコンソメ アリスを例として採用したかったのですが、『不思議な国のアリス』との関連が想像できなかったために、前作と同様にフルーツサラダを例に採りました。

この間、気まぐれで買ったヴィクトリア女王に関する本を読んでいて、ある箇所に目が留まりました。アリス、ヴィクトリアの次女です。更に調べるとヴィクトリア女王の周辺には他にもAliceがいますが、エスコフィエの活躍した時代と重ねて類推するとこの皇女に違いない、と確信しました。同時に、辞典を買ってくれた人たちに間違った情報を与えてしまい、申し訳ないことをしたという気持ちが涌いてきました。

19世紀半ばから20世紀初頭まで、料理人たちは顧客であるセレブたちの名や当時流行っていたオペラや劇の題名を料理に冠していました。
現代のフランス料理の料理名は、時には3行にも及ぶ長いものです。そのおかげで料理タイトルを読んだだけでどんなものかよくわかります。友人の中には、長すぎてスマートではないしサーヴィス係の料理説明の仕事も取り上げてしますので良くない、という人もいます。その通りです。でも料理に登場する人名に苦労をしている辞典書きには楽な風潮です。それを知らないとどんな料理かわからない判じ物のような料理名というペダンティックな方が美食にふさわしいのか、何行にも渡り読めば誰にでもわかる方がいいのか、皆さんはどうお考えになりますか。
ご意見をお待ちしています。
e-mail adress:afjg@dmail.plala.or.jp

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宇田川政喜
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