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マルセイユ その2

パリからマルセイユへは、やはりリヨン駅から鉄道(S.N.C.F.)でマルセイユの中心にあるサン・シャルル駅で降りるのが一番です。新幹線(T.G.V.)だと3時間半ほどでしょうか。
両駅ともフランスの鉄道創設期の19世紀半ばにでき、その後改修をしてアール・ヌーヴォ様式を取り入れています。フランスも日本と同じく、鉄道敷設と経営は当初、民間の会社が社債を売って資金にしました。折からの産業革命完成により世の中が大きく様変わりして、旅行者が大勢押し寄せたので、経営者は大金持ちになりました。その鉄道により、ニースやカンヌが避暑地として発展し、料理を含めた地方文化がパリへ、ロンドンへと広まったのです。
駅を出て階段を下りるとカンヌ・ビエール大通りです。だらだらと500mくらい下ると旧港にでます。
駅と風景をyoutubeでみつけました。

la Gare de Lyon パリのリヨン駅 

la Gare Saint Charles マルセイユのサン・シャルル駅

ville de Marseilleマルセイユの風景 

le vieux Port 旧港 

旧港には前回紹介した魚の市場が立ちますが、同じ場所からシャトー・ディフ島へ行く通船が出ています。この島は、子供の頃に「岩窟王」を読んだ人なら思い出せるでしょう。主人公のエドモン・ダンテスが強欲な友人たちに謀られて逮捕され送られた監獄島なのです。「モンテ・クリスト伯」という題で文庫本にもなっているこの小説は、アレクサンドル・デュマの手になるもので、日本では明治期に「岩窟王」として出版され、子供たちはこぞって読んだものです。
小説の中では絶海の孤島で恐ろしい島でした。でも船に乗って行ってみると青い海と透明な地中海が素敵なリゾートアイランドみたいなのです。もちろん19世紀までは小説にあるとおりの監獄島で、フランス革命期に活躍したミラボ伯爵も一時ここに収監されました。しかし今では岩をくり抜いて作った牢獄が当時を偲ばせるのみです。この島は、高台にそびえているロマネスク様式のノートル・ダム・ド・ラ・ガルド大聖堂からもよく見渡せます。
ブイヤベースを食べる前か後に船で渡ってシャトー・ディフ島を見学すると子供の頃のどきどき感を思い出せます。


日仏料理協会
宇田川政喜
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マルセイユ

日仏料理協会が横浜の関内で経営しているレストラン “リパイユ” は、リヨン料理を看板に掲げています。この9月5日から新たに元町で “ブラスリ・リパイユ” をはじめますが、今度はリヨン料理だけではなく、プロヴァンス料理を始めます。私が若い頃なじんだ地方の料理です。
地中海の料理は、海産物を扱うことが多く、それ故日本でも多くのレストランが取り入れています。でもフランスで刊行されている料理本を繙くとプロヴァンス料理には意外に魚介類を扱ったものが少ないことに気がつきます。考えてみれば、つい数十年前までは流通事情がよくなく、傷みやすい魚は、海岸線から数キロも離れれば日常の食材としては望ましいものではなかったのでしょう。大衆が日常的に魚介類を口にするのは専ら港のすぐ近く、と言うことになります。

マルセイユは、その点、プロヴァンスの魚料理の代表格と言えるでしょう。この町は、遥かギリシアの昔からその植民港として栄えました。その後、地中海を制して1000年の栄華を誇ったローマが当時ガリアと呼ばれていたフランスをその版図に加えると大発展をしました。ローマの舟が良港マルセイユからローヌ川を遡り、ソーヌ川との合流点であるリヨンまで今で言う高速道路にあたる水上路を確立したのです。
大都市となったマルセイユは、物流の中心地であるリヨンと共に地中海の海上交通が下火となるつい最近までとても繁栄しました。

世界中で有名なブイヤベースbouillabaisseを筆頭にたくさんの料理があります。新鮮な食材が手に入る土地ではあまり手を加えないものが多いのは日本の料理を見てもおわかりでしょうが、マルセイユもご多分に漏れず、シンプルな品々が目に付きます。いわしの内臓を除いてタイムやローズマリーを枝ごと詰めて塩を振り、網で焼いただけのものや小魚に小麦粉を振ってオリーヴオイルで揚げ、レモンをしぼって食べるフリテュールfritureなどです。ブイヤベースだって、簡単な料理です。網にかかった小魚を玉ねぎやフェンネル、にんにくなどと煮てからざるで漉して骨を除いたスープをベースに作ります。

マルセイユ港は、今では街から離れた場所に港湾施設を移しています。横浜港が港の機能を本牧や根岸に移しているのと同じです。で、旧港は、というとヨットハーバーになっています。でも一番奥の岸壁には毎朝小さな漁船が着き、そのまま町の人向けに市場を開いています。ほうぼうからひらめ、鯛、たこも、ほややうにだってあがります。もちろんブイヤベースの基になる小魚もたくさんあります。この港からすぐそばにはもっと本格的な魚市場もあり、市民でにぎわいます。

このあたりにはまた、多くの魚専門レストランが並んでいて、壮観です。

こんどの元町のブラスリからは港はみえませんが、せめて料理でマルセイユの賑わいとリヨンの味を楽しんでもらえたら、と思っています。

日仏料理協会
宇田川政喜
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