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「食のフランス研修」レポート 2015年2月~4月

2015年2月10日~4月25日
帝国ホテル東京  調理部 レストラン調理課 主事  松本 桂さん : 
     Mandarin Oriental (Sur mesure par Thierry Marx)2015年ミシュラン2つ星

帝国ホテル大阪  営業部センター調理課 アシスタントシェフ  沼田 堅二朗さん : 
     Pavillone Ledoyen 2015年ミシュラン3つ星

パリ着は2月10日、研修開始は2月12/13日です。
二人とも、フランス滞在は3か月ですが、実際の研修は4月25日に終え、その後はフランス旅行をなさっています。
研修目的:今までやってきた事の再確認と、フランス人と日本人の仕事への取り組み方の違いや考え方の違いをみてみたかったのでと、松本さん。

~ 松本さん、沼田さんに研修の様子をうかがいました ~
松本さんは成田から、沼田さんは関空から出発、仁川にて合流しご一緒にパリへ。パリ到着後はすぐ宿舎でもあるホテルへ。そして、スタッフからの電話を待ったということでした。

Q. 研修先に行ったときの第一印象はどうでしたか?
R. 松本さん:厨房が小さいと思ったのが第一印象でした。でも奇麗で色々な道具や機材は揃っていました。
沼田さん:厨房は広くスタッフも多く活気にあふれていました。

Q. 厨房ではフランス人スタッフの仕事振りを見てどんな風に感じましたか?
R. 松本さん: 思っていた以上にフランス人は働くと思いました。忙しいときは休憩もせずに働いていました。忙しいときの集中力はすごいと思いました。
沼田さん:常に動きが速かったです。サービス中の集中力もすごかったです。

Q. 最初に与えられた仕事は何ですか?その後は?
R. 沼田さん:生の帆立貝を300枚薄くスライスしました。次に何をしたかの順番は忘れてしまいましたが、やることは沢山ありました。でも納得のいかないものは受けませんでした。
松本さん:ガルドマンジェの仕込みと、アミューズの盛り込み等です。その後はガルドマンジェのサービスとガルドマンジェ、ポワソン、ヴィアンドの仕込み等です。
image1.jpg   

Q. 辛かったことは何ですか?
R. 沼田さん:言葉がわからないので精神的に辛かったです。地下にも広い仕込み場や冷蔵庫があったので階段の上り下りを走って1日30回以上はしていたので体力的にも辛かったです。
松本さん:ホテルのレストランなので、様々なスタッフが働いており、色々と話しかけてくれたり、丁寧に説明してくれたりするのですが、それに対して上手く返す事が出来ないとき、どうして良いか解らない時は、情けなくもあり、辛かったです。

Q. うれしかったことは何ですか?
R. 松本さん:フランス人の料理人が丁寧に解るまで教えてくれた事。別の部署に行き一人で困っている時に「何か解らない事があったら何でも聞いてくれ」と言ってくれた時は嬉しかったです。そして、普通に一スタッフとしてフランス人と一緒に働けた事。
沼田さん:飲み会に誘ってくれた事、最終日に写真を撮ろうと言ってくれた事、言葉がわからない自分に丁寧に分かりやすく伝えてくれた事、困っている時に必ず助けてくれた事。沢山あって伝えきれません。

Q. フランス語に関してどうでしたか?
R. 松本さん:仕事中、単語は聞きとれるのですが、文章でスラスラと話されると理解するのに苦労しました。でも「解らない」と言うとこっちが理解するまで、簡単な単語等を使って説明をしてくれました。
沼田さん:普通のスピードで話しかけられると全くわかりませんでした。

Q. 辛かったことは何ですか?
R. 沼田さん:言葉がわからないので精神的に辛かったです。地下にも広い仕込み場や冷蔵庫があったので階段の上り下りを走って1日30回以上はしていたので体力的にも辛かったです。
松本さん:ホテルのレストランなので、様々なスタッフが働いており、色々と話しかけてくれたり、丁寧に説明してくれたりするのですが、それに対して上手く返す事が出来ないとき、どうして良いか解らない時は、情けなくもあり、辛かったです。

Q. うれしかったことは何ですか?
R. 松本さん:フランス人の料理人が丁寧に解るまで教えてくれた事。別の部署に行き一人で困っている時に「何か解らない事があったら何でも聞いてくれ」と言ってくれた時は嬉しかったです。 そして、普通に一スタッフとしてフランス人と一緒に働けた事。
沼田さん:飲み会に誘ってくれた事、最終日に写真を撮ろうと言ってくれた事、言葉がわからない自分に丁寧に分かりやすく伝えてくれた事、困っている時に必ず助けてくれた事。沢山あって伝えきれません。

Q. 日本と違うな、と思ったことは何ですか?
R. 沼田さん:調理器具は自前で用意するものが多かったり、1日に何回も掃除をするところです。
松本さん:厨房が狭い事。サービス中は仕込みがする場所がなく、手が空いていてもあまり仕事が出来なかったこと。
また、細かい道具等は、全て個人で持っていたこと。
image2.jpg

Q. フランス研修を終えて一番良かったと思ったことは何ですか?
R. 松本さん:いつもと違う環境に身を置く事で、言葉も違い不自由な中で考えることも多く、物事を色々な観点から見るとまた違った答えが見つかり、考える幅が広がったと思います。
沼田さん:三ツ星レストランの仕事を見ることができた、ということです。

Q. これからフランスへ行こうとしている方たちへアドバイスをお願いします。
R. 沼田さん:言葉が喋れないとやれる仕事が限られてくるので、言葉は勉強しておいた方がいいと思います。喋れるともっと楽しいと思います。
松本さん:やはり言葉が重要だと思います。言葉を理解すると仕事やプライベートも充実すると思います。それから、限られた期間ですので、行く前にある程度の予定を立てておいた方が良いです。加えて、細かい調理用具や軍手等を持参すればよかったと思いました。計りも個人持ちだったので色々と現地で揃えました。

ご協力をありがとうございました。
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theme : パリ、フランス
genre : 海外情報

ロニョン・ド・コックの利用法

前回は “ロニョンrognon” の誤解についてお話しました。でもせっかくなので利用法をいくつか紹介します。はるか昔、アルジェリアに住んでいた頃、羊の睾丸を直火でグリルして売っていたことを図らずも思い出したりしながら雄鶏の睾丸料理について紐解いてみました。

フランス料理の永遠のバイブルでありフランスの調理師養成学校の教科書エスコフィエ著
ル・ギード・キュリネールle Guide Culinaire(=料理の手引き)のP.607「雄鶏のとさかとロニョン」の項に6つのルセットが掲載されています。そのうちのいくつかを紹介します。
“ロニョン・ド・コックは水であく抜きをしてからブラン(blanc=鶏や仔牛をゆでるための小麦粉入りのクール・ブイヨン)で数分ゆでる… とさかとロニョンは主として付け合わせに用いるが下記のような料理には主材料となる。”

-ロニョン・ド・コック ベアルネーズ風:
大きめのロニョン・ド・コックをポシェし、小さな銀串に7から8つ刺して溶かしバターをかける。細かくて白いパン粉を振り、弱火でグリルする。ソース・ベアルネーズを別に添える。(ソース・ベアルネーズ=卵黄でつないだ酸味のあるエストラゴン風味のソース。参照le Guide Culinaire P.29、フランス 食の事典
P.600)
-ロニョン・ド・コック ギリシア風:
さいのめのパプリカとサフラン少々を加えたピラフ200gを用意する。ブランシールしてからバターでリソレした新鮮なロニョン・ド・コック12個と塩こしょうし小麦粉を付けて揚げたなすの輪切りとともに銀盆に盛ったピラフにのせる。

お気に入りのレストランに前もって予約し、作ってもらったらどうでしょう。

日仏料理協会
宇田川 政喜

ロニョン

日本にいてどうしても食べたいが、なかなか食べられない料理がいくつかあります。ロニョンもそのひとつです。ロニョンとは rognon 腎臓のことです。仔羊もありますが、仔牛の新鮮な
ロニョンをバターでソテしただけのシンプルな料理でも特徴のあるその歯ごたえはたまりません。でも少し古いものは小便臭くて閉口します。だから信用のできる店でしかオーダーしません。

ところが、です。フランス料理のバイブルとして有名なエスコフィエ著『le Guide
culinaire=料理の手引き』に rognon de coq という項目があります。辞典の編纂を始めた頃、私は当然のように「雄鶏の腎臓」と訳していました。その後ある書物でそれが腎臓ではなく、雄鶏の睾丸であるらしいことを知り、すぐに訂正を始めました。
以前ある料理長からこのことについて質問を受け、今一度確認をしようと多くのフランス人料理長たちに訊いてみました。今時の料理にはほとんど用いなくなっているので、若い人は知りません。そこで先日バルセロナで参加したエスコフィエ協会国際本部の総会に来ていた旧知のベテラン料理長たちに尋ねてみると、睾丸だ、と答える人と背中部分の脊髄の脇に付いている部位だ、と言う人がいました。
さあたいへんです。そこでフランスの国立職人養成学校の教授や、パリ卸売市場ランジスの鶏肉業者まで仲間全員にアンケートをとってみました。

結論としてロニョン・ド・コック rognon de coq とはやはり雄鶏の睾丸で、鶏の背に付いている部位は腎臓であることがわかりました。腎臓は生理学的には rein[ラン]と言いますが、食肉や料理では
rognon です。このあたりが誤解の始まりなのでしょう。同じものなのに異なった名称があるのはなぜでしょうか。日本でも焼き肉店で心臓をハツと呼ぶのと同じく直接的に内蔵を示すのを避けるためなのかも知れません。(因みにハツは英語のheartハートから来ているのをご存知でしたか。)
日本の焼き鳥店ではこの両部位とも使い、腎臓は背ワタと呼ぶそうです。

このような紛らわしいフランス語の部位の名称が混乱を生んだのです。

日本のフランス料理やイタリア料理などの世界では片仮名で原語をそのまま表現することが多いのですが、そこに一般的に通っている英語を組合わせると意味が異なる場合がよく見られます。例えばフランス語のスープ soupe は具がご
ろごろ入っていてパンを浮かせて食べる田舎臭い料理なのに英語では液体料理の総称です。フランス語で液体料理の総称をポタージュ potage と言うのに対し英語の potage は濃度のある液体料
理です。アントレ entrée はフランス語では前菜ですが、アメリカではメインディッシュです。 entrée は入口と言う意味なのでなぜアメリカでメインディッシュになったの
かはわかりません。

日本では英語が幅を利かせていますが、フランス料理の世界はまだまだフランス語が中心です。だからと言って一般の用法とこれだけ意味がちがうと面倒なことになります。下手をすると食品名偽装にも問われるかも知れないので気を付けたいものです。

日仏料理協会
宇田川 政喜

『ワインとチーズ おいしい食卓』

友人の佐原秋生がまた本を出版しました。『ワインとチーズ おいしい食卓』(産業能率大学出版部刊)です。名古屋外国語大学教授である彼は、産業能率大学でも「ガストロノミ」集中講座を担当しています。

文筆の世界での肩書きは、確かレストラン批評家だったのですが、今は料理評論家との事です。
3度に及ぶ長期のパリ滞在で培ったガストロノミの価値観を存分に発揮してフランスだけではなく、日本のフランスレストランの批評を愛情を込めて書いていました。2014年に産業能率大学出版部から出した『ガストロノミ』はガストロノミとは何か、をていねいに定義付けましたが、今回のテーマはワインとチーズに的を絞りつつレストランでのマナーについても項目があります。専門的なワインやチーズの本もたくさん目にする昨今ですが、現実的なワインやチーズの分類から選び方までわかりやすく書いています。今更…という人にも読んで楽しい、そして役に立つ一冊になっています。

ぜひ手に取っていただきたい作品です。

日仏料理協会
宇田川政喜
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