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ストラスブール II シュークルート ベクノフ

アルザス地方の名物と言えばだれもが思いつくのがシュークルート。酸味のある千切りのキャベツとベーコンやソーセージなどの豚肉製品を煮た、いかにもドイツ風の食文化を表しているこの料理は、フランス中の人がアルザスと結びつけるものです。ドイツ語のSaurkrautサワークラウトをアルザス地方で発音だけを映して意味は異なるchouシュー=キャベツ、croûteクルート=食事のこの語の意味はsaur=酸っぱい、kraut=キャベツです。
ドイツやベルギーのビヤホールでもよく提供されるサワークラウトというこのキャベツは、意外にも白菜の漬け物と同じ発祥のようです。中央アジアの遊牧民族が保存食料のひとつとしていた乳酸発酵した野菜を中国が取り入れたのが白菜漬け、3世紀頃から激しくなったフン族のヨーロッパ侵略の際、遺したものがサワークラウトです。
キャベツを千切りにすることで酵母を出しやすくし、塩漬けにして乳酸発酵させます。昔は樽で、今はプラスチック容器に入れて石などの重しを乗せる様まで白菜の漬け物とよく似ています。
伝統的にはゲルマン的つまりアルザス的にシャルキュトリ製品をシュークルートと共に鍋に入れ、杜松の実、粒黒胡椒、クミンシードなどで香りづけしてアルザス産白ワインを注ぎ入れ、蓋をして蒸し煮にします。ストラスブール中心にある大聖堂の正面にあるレストランカンマーゼルが1970年代から魚のシュークルートを提供し始め、評判を呼びます。薄味のシュークルートの上に鮭、白身魚、鰊の燻製キッパーズをスライスして並べ、上から一種の白ワインソースをかけたものです。ハムやソーセージなどシャルキュトリ製品と酸味のシュークルートに慣れた私にはあまり歓迎するものではありません。でも超満員の店にいるとこれをおいしいと思わない私が間違っているのだと思えるようになります。

maison Kammerzell  choucroute

シュークルートと並び称されるアルザス料理にベクノフがあります。Baekenofe、Baekeoveと綴るこの料理は伝統的に蓋付き楕円形の重い鉄製鍋にじゃが芋、肉、野菜を入れてオーヴンで長時間蒸し煮した料理です。
Baekeベーカー、パン屋、offe,oveオーヴン、窯、の意味のアルザス語で、かつてパン焼き職人がパンを焼き終わったオーヴンに客が鍋を入れて煮込んだのがこの料理の始まりです。庶民が肉を食べられない時代にはチーズとじゃが芋で作っていたそうです。

Baekenofe  Baekenofe

シュークルートやベクノフ、ブルゴーニュ地方の牛の赤ワイン煮込みブフ・ブルギニョン、フランドル地方の肉と人参、玉ねぎの煮込みポチュレヴィシュ、マルセイユの魚の煮込みブイヤベースなどなど、地方の大衆料理には共通したものがあります。いずれも鍋ひとつでできること、じゃが芋や穀物に野菜、肉を加えて完全食品にすることです。異なるのは地方により用いる香草や香辛料の違い程度。日本の各地にある郷土の名物鍋料理にとてもよく似ています。これらをおいしいい、と心から思うには慣れ親しんだその土地や風土、会食する家族や仲間の顔、が必要になるでしょう。食は食べ物だけで成立してはいないことがよくわかります。

日仏料理協会
宇田川政喜
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ストラスブール I

今月初旬、料理長の会、エスコフィエ協会の国際総会が東フランス、アルザス地方の都市、ストラスブールで開催されたので行ってきました。

アルザス地方は、あまり旅をしない私にとって初めての土地です。

ローマ時代から古代ローマとゲルマン人がぶつかるいわば文明の国境にある地方で、19世紀から20世紀半ばにかけてドイツとフランスの領土分捕り戦争の主戦地になって人々は大変苦労しました。戦後はその反省を含めてヨーロッパ共同体ができ、今では欧州議会が置かれてヨーロッパの中心地として栄えています。

食文化としてははっきりとゲルマンつまりドイツ的で、名物のシュークルートやベクノフをドイツ語みたいな店名のレストランで食べているととてもフランスにいるようには思えません。

ただ少し残念だったのは地名や店名は別にすると人々の会話がドイツ語的ではないのです。アルザス語はフランス語ではなく、ドイツ語方言なので日本を出る前にドイツ語のおさらいを少ししたのですが、聞こえてくるのはフランス語ばかり。地元の人に聞いたらアルザス語は特に若者の間ではすっかり廃れてしまってみんなフランス語になってしまったと言っていました。先進国ではどこでもそうですが、地方色がどんどん失われてしまって旅の楽しみが少なくなりました。そういえば私がかつて住んでいたプロヴァンス地方でもプロヴァンス語はおろかプロヴァンス訛りさえ少なくなってしまっています。

しかしこの均質化は違うところでは素晴らしい効果を上げています。トラムtram=市電、です。パリにこそ外周部にしかありませんが、マルセイユだろうが、ニースだろうが、リヨンだろうが、ちょっとした街にはほぼ必ずトラムがいてとても美しい。美しいだけではなく、低床式で乗り降りがとてもたやすく便利です。古い街並みに超モダンなトラムは新しい風景として私の心を奪います。

tram1   tram2   tram3   P3071174.jpg




次回は本題のアルザス料理についてお話します。ご期待ください。

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宇田川政喜
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