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プーロ・ポ

フランス料理に関わるよしなしごとをぼつぼつと書いてみようと思い始めたことですが、この「フランス料理あれこれ」は早いものでもう100回になってしまいました。
まだもう少し続けてみようと思います。ご笑読ください。

2017年ももう4分の3が過ぎて、秋になってしまいました。そしてまた10月28日、世界同時開催の食の祭典「エピクロスの晩餐会」の季節になりました。近代フランス料理の創始者オーギュスト・エスコフィエの生誕を記念して、その弟子たちで作るエスコフィエ協会が世界各地のレストランで同時に同じメニューを提供するのです。今年のテーマは2010年及び2013年に続いてもうお馴染みになったプーロ・ポPoule au pot=雌鶏の土鍋煮込み。日本語では鶏肉の種類を言う時には頭にそれぞれ雄、雌、若、ひな、と付けるだけですが、英語やフランス語では、みんな別の名前があります。いわく、poulet 若鳥、poussin ひな鳥、poule 雌鶏、coq 雄鶏、poularde 肥鶏。ローストにするとジューシーで香ばしい若鶏、家畜としての役割を終えた老雄鶏や老雌鶏の柔らかくて味の強い煮込みなど牛と同様多くの料理に利用されます。pouleは雌鶏ですから、本来の役割は産卵です。卵をあまり産まなくなると潰して煮込みにします。ちなみに老雄鶏はよく赤ワインで煮てココ・ヴァンcoq au vinという料理などになります。

さて、今回のpoule au pot 雌鶏の土鍋煮の中でも一番有名なアンリ4世風Poule au pot Henri IV のレシピを見てみましょう。まず下処理した雌鶏の腹に細かく挽いたレバー、砂肝、フォワ・グラを詰めて腹を縫って閉じ、皮面をフライパンできつね色に焼き色を付けます。鶏のブイヨンににんじん、玉ねぎ、蕪、ポロねぎを加えて沸騰しないくらいの弱火で長い時間煮ます。煮汁で米を炊いて付け合わせとします。ソースは、やはり煮汁をルウでつないで濃い生クリームを加えてソース・シュプレームを作ります。

(面白い写真を載せているサイトを見つけました、ご参考まで
http://www.julienbinz.com/La-poule-au-pot-par-Daniel-Zenner_a3905.html

この料理はフランス国王アンリ4世(1553-1610)がとても好んだことで知られています。良き王と呼ばれたこの王は、「もし私がもっと長生きできるのなら休日を設けて皆がこの料理を食べられるようにしたい。」と言ったということです。宮廷や革命後の高級レストランで愛されたこの料理は、大皿の真ん中に鶏を盛り付け、周りに野菜を付け合わせてサーヴィス係がカッティングサーヴィスをするのですが、今では、その技術も手間もありませんから、料理のコンセプトを大切にしながらも、各料理長がきっと上手に皿盛り料理に仕上げることでしょう。今から大いに楽しみにしています。

日仏料理協会
宇田川政喜
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