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デミグラスソース

前回お話ししたようにフランスでも日本でも料理からソースがなくなりかけてピュレなどになりつつあります。
オーギュスト・エスコフィエは19世紀後半から料理の近代化を進め、それまでの複雑なものから簡素化を行いました。宮廷料理がレストラン料理に変化していった時代の必然だったのです。
その時代に様々なソースの基となったのがソース・ドゥミグラスsauce demi-glaceです。肉料理用の茶色いソースとしてソース・エスパニョールがあります。オーヴンでよく焼いた仔牛の骨と玉ねぎ、にんじんといった香味野菜やトマトピュレ、ルウなどを加えてフォン・ド・ヴォで長時間煮て濾して作ります。これを更に煮詰めるとその濃さによってグラスglace、ドゥミ・グラスdemi-glaceとなります。魚用のソース・エスパニョールやドゥミ・グラスもありました。一度作っておけばいろいろな香りや味を加えて様々な派生ソースが作れたからとても重宝したのです。

1970年代にヌーヴェル・キュイジーヌが台頭するまで100年以上も栄えていたソース・ドゥミ・グラス。フランスでは今や見る影もありません。然るに日本ではどっこい立派に生きています。ただしフランス料理の世界ではなく、明治時代以来西洋料理から始まって、日本で独自に発展した“洋食”の世界にです。この世界ではデミグラス、乃至ドミグラスと呼ぶことが多いように思えます。エスコフィエのドゥミ・グラスとは違って白いご飯を食べるためのおかずにかけるソースですから作り方は似ていても仕上げに用いる材料はトマトケチャップやウースターソース、中には醤油を使う人もいます。
もちろん洋食の世界でも経営の合理化は必然となっているので、かつてのように1週間かけた、いや、2週間だ、うちは3日だけですよ、ということはなくなってきているようです。先日も3週間かけて作る、と言っていた横浜の洋食屋のドミグスはいつの間にか変わり果てた有様になっていました。若い頃に覚えた美味ではない、と言って嘆くのは簡単ですが、時間をかけて作った料理にそれに見合う十分なお金を払う客があまりいない以上、料理を変えるしかないのです。日本の食の事情に合わせて独自に発展した洋食も立派な食文化ではないでしょうか。

フランスでもスーパーマーケットのレトルトや冷凍食品の売り場にいわゆる家庭料理や郷土料理のパックが並んでいます。どの国の食品メーカーも懐かしさとおいしさを想い起こすことのできるソウルフードの開発に余念がありません。でもやはりドゥミ・グラスは少なくとも3日かける方が断然おいしい。いよいよ食堂でありつけなくなったら自分で作るしかありません。

日仏料理協会
宇田川政喜
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