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ヨーロッパ人は狩猟民族!?

テレビや新聞、雑誌でよく目にする論理に “ヨーロッパ人は狩猟民族で肉食だからアグレッシブ、日本人は農耕民族だから穏やか…” があります。世に言う有識者がいかにも常識、ってな具合で発言しています。誰も「そんなバカなことはない」とは言いません。

でもよく考えてください。食の安定供給ができない狩猟・採集では人口は増えないし、村落の形成も不要です。哺乳類ヒト科ヒトがここまで地球上にはびこるようになったのは食の確保に大きな進歩があったからでしょう。小麦の入手が国是だった古代エジプトやローマから19世紀に至るまで大衆の主食は穀物でした。19世紀どころか1970年代に私が会った若いフランス人は週に一度鶏を食べるのを楽しみにしている程度で普段の動物性たんぱく質摂取は卵でした。初めは狩猟・採集生活だった人たちが穀物や野菜を育て、動物を家畜化して牧畜を始め、一層の収穫を求めて集団化し、機具を開発し、文明が進歩して来たのです。日本だって同じです。縄文中期ごろまでは狩猟採集の暮らしを営んでいましたね。
狩猟民族が一足飛びに高度な文明を築ける訳はないし、農業がなければつまり穀物が不足すれば多くの人口を養えるはずがありません。
日本で仏教の教えである殺生の禁止が大衆にあまねく広がるのは江戸時代ですが、江戸期でも野山の兎や猪を捕食していたのは知られています。また奈良時代には存在していた牧畜は仏教のせいで衰退しましたが、漁は海で行なう狩猟です。日本人だけが農耕民族だった、という論理は成り立ちません。一方、フランス革命以前のフランスでは空腹に耐えかねた農民がこっそり兎を捕まえて領主の兵に捕まり、罰せられた、という類の話は枚挙にいとまがないほどです。

どこでも文明の進歩は狩猟・採集から始まり、農耕、手工業、集団化、都市化、という順に成立していくことを今一度考えてください。ヨーロッパ人は狩猟民族で日本人は農耕民族、などというおかしな説に賛成しないでいただきたいものです。

日仏料理協会
宇田川政喜
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